コラム

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健診で「尿酸値」の異常が出たら?

プリン体の多い飲み物の例

更新日:2026年8月15日
監修:板倉 卓司

健診異常シリーズ、第3回は「尿酸値」です。
「尿酸値」が高いと、何が問題なのでしょうか。
ときどき聞こえてくる「痛風」というキーワードとの関係は?
身近な「健診」で指摘されることは、意外と知らないことばかりです。
健診の指摘をきっかけにして、ご自身の健康について知識をつけていきましょう。

健診の「尿酸値」 にまつわる3つのポイント

  • 血清尿酸値が7.0 mg/dLを超えると、「高尿酸血症」です。
  • 痛風は、尿酸の結晶によって起こる「関節炎」です。 足の親指の付け根などに、突然強い痛みや腫れが出ることがあります。「風があたっても痛い」ことから、古くから「痛風」と呼ばれています。
  • 薬による治療をするかどうかは、尿酸の値だけでは決まりません。 痛風発作歴、腎機能、尿路結石、持病、服薬状況などをあわせて考えます。

健診結果の見方

検査項目 基準値/項目 意味
血清尿酸値 7.0 mg/dLを超えると高尿酸血症 血液中に含まれる尿酸の濃度
クレアチニン・eGFR 年齢・性別などを含めて評価 尿酸を排泄する腎臓の働き
尿検査 尿たんぱく、尿潜血、尿pHなど 腎障害や尿路結石についての手がかり

7.0 mg/dLは高尿酸血症の診断基準です。薬を始める基準や、治療中の目標値とは異なります。また、尿酸値は採血したときの体調、脱水、飲酒、食事、服薬などによって影響されます。

高尿酸血症・痛風とは

尿酸は、体内の細胞や食品に含まれる「プリン体」が分解されたときにできる物質です。主に腎臓から尿へ排泄されますが、つくられる量と排泄される量のバランスが崩れると、血液中の尿酸が増えます。
高尿酸血症が続くと、尿酸が結晶となって関節にたまり、痛風発作を起こすことがあります(痛風関節炎)。
また、尿のとおり道(=尿路)に結晶や結石ができたり、腎臓の機能に影響したりする場合もあります。

健診で尿酸値を測るのはなぜ?

高尿酸血症それ自体には症状がありません。
痛風を起こしたことがある方、痛風発作をすでに繰り返している方は、尿酸を下げることで発作を予防することができます。
また、尿路結石、腎機能低下がある方では、尿酸値を積極的に管理することが大切です。

高尿酸血症と関係すること

高尿酸血症になる原因は人それぞれで、いくつかの原因が絡み合っていることがあります。

  • 遺伝的な体質、家族歴、年齢
  • 体重増加、過度の飲酒、糖分を含む飲料、プリン体の多い食品に偏った食事
  • 激しい運動、急激な減量、脱水状態
  • 腎機能低下、血液の病気、がん治療など
  • 利尿薬などの一部の薬の影響

原因は食事だけではありません。アルコールは、種類を問わず尿酸値に影響することがあります。
薬が関係する場合があります。薬は自己判断で中止せず医師へ相談してください。
また、日本人では体質的に尿酸が高くなりやすい人が少なくないことが知られています。

受診の目安

健診結果に「要受診」「要精密検査」とある場合

結果を持参して医療機関にご相談ください。過去の健診の結果も役立ちます。

早めの相談が望ましい場合

  • 尿酸値の高い状態が以前から続いている
  • 足の親指の付け根などに、突然の強い痛みや赤い腫れが出ている、あるいは過去に出たことがある
  • 痛風発作を繰り返している、または皮下に硬いしこりがある
  • 尿路結石の既往、腎機能低下、尿たんぱくがある
  • あわせて高血圧、糖尿病、心臓病などがある

緊急性のある場合

赤く腫れた関節の痛みに、高熱や寒気(悪寒)を伴う場合は、感染症など痛風以外の病気と見分けをつける必要があります。
当日中に医療機関にご相談ください。
背中や脇腹の激痛に発熱・悪寒を伴う、または尿が出ない場合も、緊急の受診を考えましょう。
意識が朦朧とする、呼びかけに反応しないなどの異常があるときは救急受診を考えましょう。

医療機関でチェックすること

  • 痛みや腫れが始まった時期、部位、過去の発作
  • 過去の尿酸値、腎機能、尿路結石の有無
  • 食事、飲酒、水分摂取、体重変化、運動
  • 家族歴、既往歴、服薬状況
  • 必要に応じて血液・尿検査、関節液検査、画像検査

初めての関節炎では、痛風以外の病気との区別が重要です。症状だけで自己診断せず、医療機関に受診しましょう。

高尿酸血症・痛風の治療の考え方

痛風の場合

痛風発作の炎症を抑える治療(=抗炎症治療)と、尿酸値を長期的に管理する治療があります。
抗炎症治療には、消炎鎮痛薬やグルココルチコイドといった薬物を使用します。
尿酸値の管理には、生活習慣の見直しなどを行うほか、尿酸値を下げる薬(尿酸降下薬)を用いることがあります。

大切なこととして、尿酸降下薬を開始したばかりの時期には痛風発作が起こりやすいので、尿酸降下薬を開始する場合は飲み方や併用薬について医師の指示を守りましょう。

ご自分でできること

  1. 痛風発作が起こったら、関節に負担をかけず、安静にする:無理に歩いたり、患部をもんだりせず、早めに医療機関にご相談ください。
  2. アルコールを控える:飲酒や加糖飲料が多い場合は、水や無糖のお茶にチェンジしましょう。水分制限がある方は、ご自身にとっての適量を医師にご確認ください。
  3. 経過を記録する:尿酸値、腎機能、関節痛の日時、お酒や薬をとった日時をメモします。

よくある質問

Q. ビールをやめれば尿酸値は下がりますか?

A. ビールに限らず、アルコール全般が尿酸値に影響すると考えられています。プリン体ゼロの表示がある酒類でも、飲酒量全体を見直すことが大切です。
また、アルコールや食事などと関係のないメカニズムで高尿酸血症をきたすケースもあります。生活習慣の変更によってどれだけ尿酸値が低下したか前後で比較することが大切です。

Q. 痛風発作中に尿酸値が正常なら、痛風ではありませんか?

A. 発作中には尿酸値が一時的に下がり、基準値内になることがあります。つまり、尿酸値だけでは痛風でないとはいえないため、症状や検査を組み合わせて判断しましょう。

Q. 尿酸値が高い場合、すぐに薬が必要ですか?

A. 薬物治療の要否は、尿酸値だけでなく、痛風発作、痛風結節、尿路結石、腎機能、持病などを含めて判断します。健診の数値だけで自己判断せず、医療機関にご相談ください。

受診をご希望の方へ

当院では内科で尿酸値や痛風に関する相談を受け付けています。受診時は、健診結果、お薬手帳、過去の尿酸値や腎機能の結果をお持ちください。

参考資料

本記事は一般的な情報提供を目的としています。個別の診断や治療については、医療機関でご相談ください。