コラム

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高血圧、放置していませんか

投稿日:2026年2月15日
更新日:2026年8月16日
監修:板倉 卓司

楠医院コラムでは、健診などで指摘されることの多い項目や、患者さんから多くご相談を受ける項目について取り上げます。

第1回は、生活習慣病のひとつであり、健診でも指摘されることの多い「高血圧」をとりあげましょう。

血圧とは?

そもそも、血圧とはなんのことでしょう?

血圧とは、心臓から送り出された血液が、血管の内側を押す力のことです。健康診断などで、腕にカフ(腕帯)を巻いて測ったことがありますよね。

「上の血圧」とは、心臓がぎゅっと縮んで血液を送り出すときの血圧(「収縮期血圧」)のこと。
「下の血圧」とは、心臓がふたたび広がるときの血圧(「拡張期血圧」)のことです。

血圧の単位はmmHg(ミリメートル水銀柱)です。

「高血圧の基準」と「治療の目標」は別のもの

一般の成人では、診察室で測った血圧が「上140mmHg以上、または下90mmHg以上」、家庭で測った血圧が「上135mmHg以上、または下85mmHg以上」の場合、高血圧に該当します。

ただし、血圧は緊張や体調、直前の運動などによって変動します。一度の測定値だけで自己判断せず、家庭血圧や別の日の測定結果も含めて確認することが大切です。

一方、「どこまで下げるか」という治療目標は、高血圧の基準とは異なります。『高血圧管理・治療ガイドライン2025』では、一般の成人高血圧患者の原則的な目標を、診察室血圧130/80mmHg未満、家庭血圧125/75mmHg未満としています。

もちろん、やみくもに下げればよいわけではありません。体調や持病、副作用などに配慮しながら、その方に合った目標を決めます。小児や妊娠中の方などは別の考え方が必要です。

高血圧は何が問題なのか

では、血圧が高いと何が問題になるのでしょうか。

「心臓がしっかり働いているのなら、問題はないのでは?」と思われる方もいらっしゃるかもしれません。

血圧が高い状態が続くと、全身の動脈や心臓、脳、腎臓などに少しずつ負担がかかります。その結果、脳梗塞や脳出血などの脳卒中、心筋梗塞、心不全、慢性腎臓病などの危険が高まります。

高血圧を治療する最大の目的は、数字を下げることそのものではなく、こうした未来の大病を防ぐことです。

高血圧の原因は?

血圧は、おおむね年齢とともに上がりやすくなります。しかし、「年齢のせいだから仕方がない」というわけではありません。

多くの高血圧には、遺伝的な体質に加え、塩分の多い食事、体重増加、運動不足、過度の飲酒、睡眠不足など、複数の要因が関係します。

一方で、腎臓の病気、睡眠時無呼吸症候群、ホルモンの病気、血管の病気などが原因となる「二次性高血圧」もあります。比較的若い年齢から血圧が高い方、急に血圧が上がった方、複数の薬を使っても下がりにくい方では、特にこうした原因の確認が大切です。

また、痛み止めやステロイド、一部の漢方薬、ホルモン薬、サプリメントなどの影響で血圧が上がることもあります。自己判断で中止せず、受診時にお薬手帳や服用中の製品がわかるものをお持ちください。

塩分の多い食事の例

高血圧だとわかったら?

高血圧の治療には、生活習慣の見直し、血圧を下げる薬による治療、背後にある病気や原因に対する治療などがあります。

生活習慣の改善では、減塩、適正体重の維持、無理のない運動、節酒、禁煙、十分な睡眠などが大切です。高血圧の方の減塩目標は、食塩相当量1日6g未満です。すべてを一度に完璧にしようとせず、続けられることから始めましょう。

どの治療を優先するかは、血圧の高さだけでなく、年齢、持病、腎機能、心臓や血管の状態などを含めて考えます。

家庭血圧を測ってみましょう

診察室では緊張して血圧が高くなる「白衣高血圧」や、逆に診察室では正常でも家庭や職場で高くなる「仮面高血圧」があります。そのため、家庭での記録がとても役に立ちます。

家庭血圧は、上腕にカフを巻くタイプの血圧計で、朝と夜に測ります。

  • 朝:起床後1時間以内、排尿後、朝食や服薬の前
  • 夜:就寝前
  • 椅子に座って1〜2分安静にしてから測る
  • 1回の機会に原則2回測り、すべて記録する
  • できれば週に5日以上測り、記録を受診時に持参する

測定前の運動、飲酒、カフェイン、喫煙などでも数値は変わります。いつもできるだけ同じ条件で測ることがポイントです。

「血圧の薬を始めたら、一生飲み続けるのですか?」

これは、よくご相談いただく質問です。

すべての方が必ず一生飲み続けるとは限りません。生活習慣の改善や原因となる病気の治療により、医師の判断で薬を減らしたり、中止できたりする場合もあります。

一方で、多くの方では血圧を安定させるために長期的な治療が必要です。血圧が下がっているのは、薬が効いているからかもしれません。急にやめると血圧が上がることがあるため、自己判断で中断したり、量を変えたりせず、ご希望も含めて医師にご相談ください。

「薬はできるだけ飲みたくないな…」というお気持ちも、大切な意思です。薬を使う利点と気になる点を一緒に整理しながら、納得できる治療方針を考えていきましょう。

こんなときは早めの受診を

上の血圧が180mmHg以上、または下の血圧が120mmHg以上など、非常に高い状態がみられる場合は、症状がなくても早めに医療機関へご相談ください。

また、突然の激しい頭痛、片側の顔や手足のしびれ・動かしにくさ、ろれつが回らない、胸や背中の強い痛み、息苦しさ、意識の異常などがある場合は、通常の受診予約を待たず、119番通報を含めた緊急の対応が必要です。

おわりに

健診やご自宅でなにげなく測定している血圧は、からだの血管からのサイン、ということもできるかもしれません。

高血圧は、それ自体では症状がでないことが多く、受診を先延ばしにしてしまいがちです。しかし、健診などをきっかけに気づくことができれば、未来の大病を防ぐチャンスになります。

高血圧を指摘されたら、健診結果、家庭血圧の記録、お薬手帳をお持のうえ、内科にご相談ください。

参考資料

本記事は一般的な医療情報の提供を目的としています。個別の診断や治療については、医療機関でご相談ください。